行政書士試験では毎年記述式の問題が必ず3問出題されています。この記述式の3問は行政書士試験の総得点のうち20%と大きな割合を占めているため、確実に合格をするためには、効率的な対策が必要不可欠です。
今回は、行政書士試験の記述式問題の特徴やおすすめの攻略法・対策方法などについても詳しく解説します。記述式対策で悩んでいる方は参考にしてみてください。
1.記述式試験の特徴
行政書士試験では「多肢択一式」と「記述式」の2種類が出題されます。記述式は例年3問出題され、行政法および民法の2分野から出題されます。
まずは、記述式問題の概要と出題される行政法や民法の特徴について確認してみましょう。
1-1.記述式問題の概要
行政書士試験は「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」という2科目が試験範囲です。
「行政書士の業務に関連する一般知識等」は、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解などの分野が出題され、出題される14問は全て5肢択一式で出題されます。
一方、「行政書士の業務に関し必要な法令等」からは憲法や行政法、民法、商法などの分野が出題され、問題数は46問です。このうち3問は記述式で出題され、残りの43問は5肢択一式または多肢択一式の形式で出題されています。
試験の配点は下図の通り、「行政書士の業務に関連する一般知識等」が1問4点で計56点、「行政書士の業務に関し必要な法令等」は5肢択一式が1問4点で40問出題され160点、多肢択一式が3問で24点、記述式が3問で60点の計244点です。
試験科目 | 出題形式 | 出題数 | 満点 | |
---|---|---|---|---|
法令等 | 択一式 | 5肢択一式 | 40問 | 160点 |
多肢選択式 | 3問 | 24点 | ||
記述式 | 3問 | 60点 | ||
計 | 46問 | 244点 | ||
一般知識等 | 択一式 | 5肢択一式 | 14問 | 56点 |
合計 | 60問 | 300点 |
(備考)問題別配点
▽択一式 5肢択一式 1問につき4点
多肢選択式 1問につき8点 空欄(ア~エ)一つにつき2点
▽記述式 1問につき20点
(出典:一般財団法人「行政書士試験研究センターウェブサイト」)
さらに、行政書士試験に合格するためには以下の3つの合格基準を全て満たす必要があります。
- 「行政書士の業務に関し必要な法令等」で122点以上
- 「行政書士の業務に関連する一般知識等」で24点以上
- 総得点で180点以上
上記の配点や合格基準から考えると、300点満点のうち20%の60点を占めている記述式問題のウエイトは非常に大きいと言えます。そのため、行政書士試験で確実に合格を目指すためには、記述式の対策も必要不可欠であることが分かります。
記述式試験は行政法から1問、民法から2問の割合で出題され、それぞれ40文字程度の記述で解答する形式です。択一式問題とは異なり記述内容によって部分点などもあるため、記述式問題の出来が試験の合否を左右することもあります(※部分点に関しての詳細は行政書士試験研究センターから正式に発表されていません)。
1-2.行政法の特徴
行政法は行政書士試験における最重要分野の一つです。試験の全60問のうち22問(300点満点中112点)が行政法からの出題で、記述式の問題も1問出題されています。
出題範囲も広く、行政手続法や行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法などの幅広い行政に関する法律から出題されるのが大きな特徴です。特に、最近の行政書士試験では行政法などの問題が難化傾向にあるため、ポイントを絞った勉強法が求められる分野になります。
行政法は試験対策の中でも多くの時間を割いて勉強する分野になりますが、選択肢で解答が与えられていない記述式問題を解くためには記述式に特化した対策も別途必要です。最新の2019年11月に行われた試験では行政手続法に関する記述問題が出題されましたが、問いに対する回答の方法が複数考えられる問題だったため、苦戦する受験者も少なくありませんでした。
このような問題を解くためには知識のインプットだけでなく、正確にアウトプットできる記述力を養う必要もあります。
1-3.民法の特徴
民法も行政法と同様に行政書士試験における最重要科目の一つです。民法からは例年、5肢択一式問題が9問、記述式問題が2問の計11問が出題され、配点も300点満点のうち76点を占める行政法に次ぐウエイトの大きな出題分野となっています。
民法は条文数だけでも1,044あり、行政法と同様に出題範囲の広さが特徴的です。そのため、行政書士試験では出題頻度の高い総則や物権、債権などの分野を中心にポイントを絞って対策することが重要になります。
2019年に行われた試験では記述式問題で物権と第三者のために行う契約に関する問題が出題されました。物権の問題はオーソドックスな知識を問う問題だったため、比較的簡単に解答できた受験者も多かったのが特徴です。
しかし、第三者のために行う契約に関しては過去に出題されたことのない内容だったため、対策が十分でなかった受験生にとっては得点しづらい問題となりました。
このように、民法は試験範囲が広いことから、問題によっては難易度の高い出題もある点に注意が必要です。
2.おすすめの記述式試験の勉強法とは?
行政書士試験の記述式ではほとんどの問題で「条文」と「判例」の内容が問われます。そのため、「条文の規定はどうなっているか?」「過去の判例はどうだったか?」という知識も身につける必要があります。
なお、条文と判例に関する知識は択一式問題にも共通するため、択一式問題の対策をすることで身に付けることもできますが、記述式問題はその先にある「問題文を読み解く力」と「文章にして書く力」まで問われるため、別途対策が必要になります。
記述式問題の対策では、記述式の問題を実際に解いてこれらの作業に慣れることが重要です。記述式問題は3問とも毎年同じ形式で出題されるという特徴があります。問題文が長文で与えられ、それに対する回答を45マスの解答欄に40文字程度で記述して回答する形式です。
そのため、まずは与えられた長文を正確に読み解き、「何の知識を問われているのか?」「どのような文章で解答するのか?」を理解しましょう。その後、問われた知識のキーワードを漏れがないようにピックアップし、解答する文章の形式に当てはめて解答できるような対策をします。
なお、過去問や問題集などを活用して様々な記述式の問題を解くことも重要ですが、記述式には部分点もあるため、自己採点ではどの程度できているか分かりにくい場合もあります。そこで必要に応じて資格スクールなどの対策講座などを利用することで、より効率的に学習できるようにもなります。
また、行政法と民法はそれぞれ以下のポイントにも注意して対策を行うようにしてください。
行政法の対策
行政法の記述式問題は、複数の登場人物と複雑な条件設定の下で法律に関する知識が問われます。そのため、与えられた問題文を正確に把握することに重点を置いて過去問や練習問題を繰り返し解くことが重要です。
民法の対策
民法の記述式では債権などの頻出項目に重点を置いて対策することが重要です。2019年の試験のように予想外の難問が出題されることもありますが、それは他の受験生も同じです。まずは、過去問などを中心に問題文の把握と解答の作成を繰り返し練習することが効率的な対策になります。その上で、2020年4月より大幅に改正される民法の内容なども問題集などで重点的に対策することが必要です。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。行政書士試験では記述式の問題が大きなウエイトで出題されるため、対策の仕方によっては合否に大きく影響する可能性もあります。問題文の理解や解答する文章の作成などが記述式対策のポイントとなっているため、過去問や問題集、資格スクールを活用するなど、自分に最も合った対策方法を検討してみてください。
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