行政書士は独立開業できる上、宅建士や社労士とのダブルライセンスでも活用できる資格です。しかし、行政書士試験は難関な国家試験のため、試験内容やスケジュールなどをしっかりと把握して試験対策を行うことが重要になります。
そこで、この記事では行政書士試験の概要やスケジュールについて詳しくご紹介します。2021年度の行政書士試験に合格するためのポイントも併せてご紹介するので、受験を考えている方は参考にしてみてください。
1. 行政書士試験の概要
行政書士試験は難関国家試験の一つですが、働きながら試験に合格される方も少なくありません。忙しい社会人の方が効率的に合格を狙う場合、試験の概要や試験科目、合格基準などを事前に把握することがポイントになるので、一つずつ確認していきましょう。
1-1 行政書士試験とは?
行政書士試験は年齢や学歴、国籍などに関係なく誰でも受験することができる国家試験です。しかし、行政書士試験では業務に必要とされる様々な法律などが問われるため、難易度の高い試験内容となっています。以下の表は過去5年間の行政書士試験の受験申込者数と受験者数、合格者数、合格率をまとめたものです。
・行政書士試験の合格率(過去5年)
受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2020年度 | 54,847 | 41,681 | 4,470 | 10.70% |
2019年度 | 52,386 | 39,821 | 4,571 | 11.50% |
2018年度 | 50,926 | 39,105 | 4,968 | 12.70% |
2017年度 | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.70% |
2016年度 | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 10.00% |
参照:行政書士試験研究センター
受験者数は10年前と比べると減少傾向にありますが、直近5年は4万人前後で推移しており合格者数は4~5千人ほどとなっています。合格率は概ね10%前後なので、受験者10人に1人ほどしか合格できない難しい試験となっています。
一方、令和2年度合格者の内訳は、合格者4,470人のうち7割超が30歳代以上なので、受験勉強の時間をなかなか確保できない社会人でも働きながら合格する方の多い試験となっています。
1-2 試験の基準・内容
行政書士試験は「行政書士の業務に関し必要な法令等」「行政書士の業務に関連する一般知識等」という2つの試験科目から出題されます。それぞれの試験科目の内容や出題数などは以下の通りです。
行政書士の業務に関し必要な法令等(法令等)
法令等とも呼ばれる科目で、憲法や行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法が中心)、民法、商法及び基礎法学から出題されます。試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令が出題の対象です。法令等からは46題が出題され、配点は244点となっています。
行政書士の業務に関連する一般知識等(一般知識)
一般知識と呼ばれている科目であり、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解などが主な出題範囲です。一般知識からは14題が出題され、56点の配点となっています。
この2科目を合わせて300点満点の試験となっており、法令等は出題数に占める割合が全60題中46題(約77%)、得点に占める割合が300満点中244点(約81%)となります。
出題形式は、法令等が最近の実績で多肢選択式問題3問、40字前後の記述式問題3問、残りの問題が5肢択一式となっており、一般知識は全問5肢択一式での出題です。
行政書士試験の合格基準
行政書士試験の合格基準は以下の通りです。
- 行政書士の業務に関し必要な法令等」科目の得点が満点の50%(122点)以上
- 行政書士の業務に関連する一般知識等」科目の得点が満点の40%(24点)以上
- 試験全体の得点が満点の60%以上
受験年度によっては難易度による補正的措置などが行われることもありますが、基本的には上記の基準を全て満たすと合格となります。法令等と一般知識のそれぞれで足切り点をクリアした上で全体として60%以上の得点が必要になります。
2. 行政書士試験のスケジュール・流れ
2021年度の試験スケジュールは詳細が発表されていないため、例年のスケジュールや受験申込みの流れを中心に確認してみましょう(以下、2021年2月14日時点の情報となるので、最新情報は試験実施団体等で確認するようにしてください)。
試験の公示 | 例年7月初旬に行政書士試験の詳細が公示されます。 |
受験願書・試験案内の配布 | 窓口と郵送での受け取りを選択することができ、試験の公示後に行政書士試験研究センターで詳細が発表されます。 |
受験申込み | インターネットや郵送で申込むことができます。例年7月下旬~8月下旬までが受験申込みの期間となっていますが、インターネットと郵送は締め切りが異なることもあるため注意が必要です。 |
受験票の送付 | 例年10月中旬~下旬頃に受験票が送付されます。 |
本試験 | 毎年11月の第2日曜日が本試験となっており、例年通りであれば2021年度は11月14日に実施される予定です。 |
合格発表 | 毎年1月の第5週に合格者の公示が行われ、公示後、受験者全員に合否通知書が送付されます。 |
3. 2021年度合格の3つのポイント
ここからは2021年度の行政書士試験に合格するためのポイントをご紹介します。
3-1 メイン科目から学習する
2021年度も試験傾向等に大きな変更はない予定のため、例年通り出題数と配点が多いメイン科目の法令等を優先的に学習することが重要になります。特に、行政法と民法は法令等の中でも大きなウエイトを占めるため、行政法と民法の重点的な学習が必要です。
3-2 目標から逆算して学習を開始する
2021年度の試験に合格するためには11月の本試験から逆算して学習を開始することが大切です。特に、2021年は新型コロナウィルスによる影響等が残ることも予想されるため、資格スクールなどを活用して学習することを考えている方は思ったように通学できないなどの事態も想定しておかなければなりません。
そのため、2021年度の試験に向けて例年以上に余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。また、行政書士試験では法改正の行われた項目が試験に出題されやすい傾向もあるため、余裕を持ったスケジュールを立てることで、改正論点の確認などにも時間を割くことができるようになります。
3-3 バランス良く学習する
合格基準等にも大きな変更はない見込みなので、一般知識に設けられた足切り点をクリアするためにバランスよく学習することも重要になります。
出題数や配点に応じてメリハリをつけた学習は必要になりますが、足切り点をクリアするだけの総合力も必要になる試験です。そのため、試験科目の内容と足切り点をしっかり把握して、バランス良く学習するよう心掛けることが大切です。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、行政書士試験の概要やスケジュールなどをご紹介しました。行政書士試験は難関な試験ですが、試験についてよく知り効率的な対策を行うことで合格に近づくことが可能です。余裕を持ったスケジュールで無理なく試験対策を行いましょう。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール「大栄」では、行政書士試験の合格を目指す方向けの「行政書士資格講座」を用意しています。長年にわたる合格ノウハウを詰め込んだオリジナルテキストを使用し、試験に合格できるまでの実力づくりを徹底サポートしてくれます。
これから行政書士の資格取得を目指す方で、短期間で効率よく合格を手にしたいという方は、ぜひ一度資料請求・無料体験をお申込みください。
【通学・オンラインどちらのレッスンタイプも選べます!】
【詳細ページ】資格スクール大栄の「行政書士資格講座」の詳細を見る
【関連ページ】資格スクール大栄の行政書士資格講座まとめ